光の集える空間-AIに生成されたタイトルをもとに、プレイリストを作ってみた。vol.3

こんにちは、B4魚田です。 今回は1月から続けているプレイリスト制作withAIの第3回となります。

前回までのおさらい

このシリーズはAIにテーマを決めてもらって、プレイリストを作成してもらうというものです。そのプレイリストを公開するのはもちろんのこと、プレイリストを分析し、AIの選曲の傾向を把握することで、現時点でのAIと音楽の関係を捉えることを目指しています。 全体のテーマは「光の集える空間」で、4つのプレイリストを企画しています。

・4つのプレイリストのタイトル

  1. 「Vividなバースデーworld」GPTClaude
  2. 「時の儀式のダンスパーティーGPTClaude
  3. 「Anothre Scape」
  4. 「連鎖的酔狂行列の発光」

前回までに「Vividなバースデーworld」と「時の儀式のダンスパーティー」のプレイリストを作成しました。

今回はプレイリスト「Anothre Scape」を作成してもらいます。この作業は2024年5月2日に行いました。

Adobe FireFlyで生成

制作

選曲してもらうのにあたって、聴きやすく、興味深いプレイリストになるように3つの条件を与えています。1つ目が、一般的なアルバムと同じように10曲という制限を設けること、2つ目がアーティストの出身地は問わないこと、3つ目が同じアーティストの楽曲は1曲までとすることです。それぞれで、プレイリストとちょうどよい長さにする、英語圏以外の楽曲でも選ぶ、人気アーティスト一辺倒にならないようにするというのを理由に設定しています。

↓チャットボックスのやりとりはこんな感じです。

Chat-GPT

Claude

GPTの考えたプレイリストは特に修正点はありませんでした。一方、Claudeが考えたプレイリストでは1曲目のPink Floyd『Another Brick in the Wall』(1979)Pt.1,2,3があり、どのパートか指定されていませんでした。なので、3つのバージョンから1つ選ぶように指示し、Pt.2を選んでもらいました。

Chat-GPT

Claude

分析

ここからは、2つのプレイリストの選曲について分析していきます。

まず、分析するにあたって、楽曲の情報を、スプレッドシートにまとめました。

プレイリスト「Another Scape」の選曲

スプレッドシートを見てわかることとしては、楽曲のタイトルの類似性です。GPTの選曲した楽曲のタイトルに特徴は見られませんが、Claudeの選曲した楽曲のタイトルは10曲中9曲に"Another"が含まれており、唯一違う場合も"Different"といった別のものを意味している単語が含まれています。前回のプレイリストには見られなかった傾向ですが、楽曲の選曲方法に違いがありそうな感じがします。

次に、チャートを使って、分析していきます。 2つのプレイリストの楽曲のYouTubeの再生回数(2024年5月2日時点)を比較してみます。

GPTの選曲は赤、Claudeの選曲は青で描写しています。

もっとも再生回数が多かったのはQueen『Another One Pites the Dust』(1980)の628378039回です。一方で、最も少なったのはMike + The Mechanics『Another Cup Of Coffee』(1995)の1244442回で、その差は627133597回です。今回も再生回数では幅広く選んでいたといえます。

次に選曲されたアーティストの出身地を見てみます。

棒グラフより選曲数はアメリカが最も多く、次いで、イギリス、フランスとなっていることがわかります。全体でみると、前回よりも、欧米圏のアーティストの楽曲を選ぶ傾向が強くなりました。プロンプトでは“国籍を問わない”として、多国籍なプレイリストとしたかったのですが、結果として地域が集中してしまいました。

最後にリリース年を見てみます。

GPTの選曲は赤、Claudeの選曲は青で描写しています。円の大きさは各曲の再生回数を示しています。

このチャートを見ると、GPTの選曲が、2000年以後に集中しているのに対して、Claudeの選曲が、2000年以前に集中していることがわかります。これは前回までも見られた傾向で、それぞれの選曲は2000年が一つの基準になっている可能性があります。

以上からある程度、AIの制作するプレイリストの方向性がつかめたように感じられます。

プレイリストの感想

2つのプレイリストを聴いてみて、感じたことをまとめてみました。

まず、GPTのプレイリストはMGMT『Electric Feel』(2007)から始まります。電子ポップといえる曲調で、浮遊感のある楽曲です。これの流れは3曲目まで続き、特に2,3曲目のつながりは印象的です。4曲目はシンプルなベースから始まるPortugal. The Man『Feel It Still』(2017)でバンドサウンドというか、生楽器の音が中心ですが、3曲目までの雰囲気を崩していません。5曲目は再びDaft Punk電子音楽が挟まり、6、7曲目で徐々に盛り上がり、8曲目、Franz Ferdinand『Take Me Out』(2004)でピークに達します。ここまでの3曲で2004年リリースの楽曲が並んでいるのが、面白いポイントです。9曲目、Phoenix『1901』(2009)がそれまでの楽曲をまとめるようなポップソングで、10曲目、Grouplove『Tongue Tied』(2011)が浮遊感を着地させるような、エンディングに相応しい楽曲でプレイリストは終了します。結果として、浮遊感を着地させるというストーリーのあるプレイリストになりました。

次にClaude.verは1曲目の『Another Brick in the Wall Pt.2』がイントロも短く、すぐに歌が始まってしまうので違和感がありましたが、2曲目以降は比較的静かな曲調の楽曲がまとまっていたので、落ち着いて聴くことができました。しかし、6曲目のDisturbed『Another Way to Die』(2010)、7曲目、Blind Guardian『ANOTHER STRANGER ME』とハードロック調の楽曲が連続します。落ち着いてきたところに差し込まれてしますので、はじめは驚きますが、聴いているとプレイリストのアクセントになっているように感じられます。8曲目、Phil Collins『Another Day in Paradise』(1989)からは再度、落ち着いた曲調になります。ただ、イントロ部分には無音な時間が数秒あるので、ぶつぎりになったような印象は弱いです。この後は、ディスコで流れていそうな9曲目、Real McCoy『Another Night』(1994)、10曲目、Roger Sanchez & Oliver Heldens『Another Chance』(2001)が続きます。クライマックスといった感じで、いい感じに盛り上げてくれます。様々な楽曲が違和感がありながらも接続されているプレイリストになりました。

2つとも、いい感じのプレイリストでしたが、個人的な好みとしては、浮遊感の演出がおもしろかったGPTのプレイリストの方がいいかなと思いました。

おわり

今回は「Another Scape」というタイトルのプレイリストをChat-GPTとClaudeに制作してもらい、その選曲について少し分析を行いました。今回のプレイリスト内の楽曲のMV一覧や分析で使用したチャートはここで確認することができます。

次回は「連鎖的酔狂行列の発光」になります。ご高覧頂き、ありがとうございました。

おまけ

同じタイトルで僕が作ったプレイリストも公開しておきます。