2024年1月:気になったテックトピック3選

こんにちは。 日々最新のテックトレンドを追うのが趣味の、B3 の坂村です。

今回から毎月、1ヶ月間で気になったテックトピック 3 つを選んで紹介していきたいと思います。

rabbit r1

ChatGPT が登場してから 1 年が過ぎ、AI の使用が多くの人にとって日常になってきています。 現在、 AI の体験は Web アプリとして提供されることが一般的ですが、ここ数ヶ月で AI ネイティブなハードウェアが発表されてきています。

これらは新たな UI・UX を提供したり、スマートフォンと接続することで機能するもの、はたまたスタンドアローンで動作するものなど様々な形態で提案されています。また、ChatGPT を提供する OpenAI が Jony Ive のデザイン会社 LoveFrom と AI ハードウェアを開発しているという噂も出ています。

このように AI デバイスに注目が集まっている中、CES2024 に合わせて新しいデバイスが発表されました。それが rabbit の r1 というデバイス

rabbit r1 の Keynote

https://media.wired.jp/photos/659fe2352b5aea59180df364/master/w_2240,c_limit/gear-r1_USB-C_SIM.jpg

rabbit は「LLM(Large Launguage Model)」に対して「LAM(Large Action Model)」を提唱しました。これはアプリケーションの UI を AI が学習することで、アプリケーションの操作を AI が行ってくれるというモデルです。

これまでのスマートスピーカーや ChatGPT は対応したアプリケーションや情報からしか応答できなかったり、選択肢の提案などしか行えませんでした。 しかし、LAM はこの障壁を超えて私たちが AI に任せたい作業や操作を最後まで行ってくれるということです。これにより、検索はもちろんのこと、音声コマンドひとつでチケット予約やデリバリーの注文、Midjourney で画像生成を行うこともできます。

また、カメラを通じてその場の環境について質問をしたり、もちろんディスプレイの操作も可能なので、様々な利用シーンを妄想してしまいます。

今回発表されたデバイス r1 は PC やスマートフォンをリプレイスするものではなく、スマートウォッチのようにコンパニオンデバイスとしての位置付けがされており、次世代のスマートフォンを狙っているわけでなく、AI ハードウェアの浸透を狙っていると考えられます。

発表当日に 1 万台の予約を受けたということで注目度の高さが伺えるデバイスですが、どこまで浸透するかが気になるところです。

Notion カレンダー

メモアプリの Notion が元々機能連携をしていた Cron というカレンダーアプリを正式に統合し、Notion カレンダーをリリースしました。

www.notion.so

https://images.ctfassets.net/spoqsaf9291f/67GIII0VtPNUd35ATwkGwL/a4a13ff014876a4554ba7b3b79273d15/notion-calendar.png

Notion カレンダーでは、Google カレンダーなど外部のカレンダー情報を表示することはもちろん、Notion 内で作成したデータベースの情報をカレンダーに表示することが可能です。

これは、単にカレンダーアプリの選択肢が増えたことだけではなく、今後のオルタナティブアプリの可能性を感じさせるという点で興味深い事例だと考えています。現在、情報の管理や資料の作成など、GoogleApple の純正アプリを使用することが中心となっている中、Notion と Cron の連携を始めとし、単一のアプリケーションが連携する事例が増えていきています。これは、アプリケーションの選択肢が増えるだけでなく、アプリケーションの連携によって新たな価値を生み出すことができるということを示していると考えられます。もちろん、一企業のエコシステムの中で完結することも便利ですが、企業の枠を超えて連携が強化されることで、ユーザの選択肢が増えることは、単純なワクワクと共に、一強体制を破る可能性を感じさせます。

「Arc Search」 は、検索の新しい形を提案するスマートフォン用ブラウザアプリケーションです。

ブラウザを開発するスタートアップ「The Browser Company」が提供する macOS 用ブラウザアプリの Arc は、これまでのブラウザとは異なる検索の体験を提供しています。溜まりがちなタブのマネジメントをはじめ、ワークスペースといった概念やアカウントの管理など、既存のブラウザを凌駕する様々な機能を提供しています。最近では AI を用いて検索の体験を向上させる機能を提供しています。

左側でタブの管理・上部には使用頻度の高いページが常駐

arc.net

そんな Arc の iOS 用アプリケーションとしてリリースされたのが Arc Search です。

Arc Search

Arc Search

  • The Browser Company of New York Inc.
  • Utilities
  • Free
apps.apple.com

Arc Search の目玉機能が「Browse for me」というボタン。これを利用すると、上位の検索結果を要約して、知りたい内容についての独自の解説ページを提供してくれます。

Chrome などにも似たような機能が搭載されていますが、より正確で整理された情報を表示してくれる点で機能としても上回っています。また、立ち上げと同時に検索バーにフォーカスが当たってすぐに検索が始められたり、デフォルトでアドブロックが有効になっていたり、閲覧後のタブを自動でアーカイブしてくれたりと、スマートフォンで利用するブラウザとしてストレスを限りなく減らすような機能が搭載されています。

1 日幾度となく利用するブラウザ、あまり進化のなかった領域ではありますが、Arc Search は新しい検索の体験を提供してくれるアプリケーションとして注目されています。

スマートフォンアプリだけでなく、PC 用のアプリケーションも Windows への展開や更なる進化も予告されている Arc。今後の展開が楽しみです。