こんにちは、B4魚田です。 今回は1月から続けているプレイリスト制作withAIの最終回となります。
前回までのおさらい
このシリーズはAIにテーマを決めてもらって、プレイリストを作成してもらうというものです。そのプレイリストを公開するのはもちろんのこと、プレイリストを分析し、AIの選曲の傾向を把握することで、現時点でのAIと音楽の関係を捉えることを目指しています。 全体のテーマは「光の集える空間」で、4つのプレイリストを企画しています。
・4つのプレイリストのタイトル
前回までに「Vividなバースデーworld」と「時の儀式のダンスパーティー」、そして「Anothre Scape」のプレイリストを作成しました。
今回はプレイリスト「連鎖的酔狂行列の発光」を作成してもらいます。この作業は2024年6月1日に行いました。
制作
前回と同様に、プレイリストとちょうどよい長さにする、英語圏以外の楽曲でも選ぶ、人気アーティスト一辺倒にならないようにするということに注意して、指示しています。また、前回の指示だと、アーティストの国籍が欧米圏に集中してしまった反省を活かし、“国籍は問わない”という指示から、“できるだけ多くの国の楽曲”という指示に変更しています。
Chat GPT
Claude
Chat GPT
Claude
今回は特に修正するべき点は見つかりませんでした。
分析
ここからは、2つのプレイリストの選曲について分析していきます。
まず、分析するにあたって、楽曲の情報を、スプレッドシートにまとめました。
前回とは異なり、スプレッドシートを見ただけでは、傾向は掴めそうにありません。
次に、チャートを使って、分析していきます。 2つのプレイリストの楽曲のYouTubeの再生回数(2024年6月1日時点)を比較してみます。
もっとも再生回数が多かったのはLuis Fonsi & Daddy Yankee『Despaciton』(2017)の84億5501万380回です。一方で、最も少なったのはLoituma『Levan Polkka』(1995)の70万520回でした。『Despaciton』の圧倒的再生回数がわかります。また、これまでとは異なり、再生回数上位の楽曲のほとんどが、Claude選曲であることも重要です。
次に選曲されたアーティストの出身地を見てみます。
棒グラフより、最も多いのがイギリスで、次いでアイルランドとなっており、それ以外は1曲ずつ選ばれていることがわかります。 前回までの棒グラフと比較してみると、より多くの国の楽曲が選ばれたことがわかります。
ClaudeとGPT-4oの両者の選曲ともに変化が見られたので、今回の指示の変更が有効だったことが見受けられてます。
最後にリリース年を見てみます。
リリース年で見た時の選曲傾向はこれまでと全く違ったものになりました。
これまでは、GPTが2000年以後の新しく人気な楽曲を選び、Claudeの選曲が2000年以前の少し古い楽曲を選ぶという傾向にありました。しかし、今回は両者ともが1970,80~2020年ごろの楽曲を選んでおり、Claudeの方がより再生されている楽曲を選んでいます。今回の指示では特に、再生回数、人気といった部分を含みませんでしたが、その出力に大きな差が生まれるという結果になりました。
第3回までの傾向で、新しくて人気な楽曲を選ぶならGPT、少し昔の楽曲がいいならClaudeというまとめにしようと考えていたのですが、最終回でそれがひっくり返ってしまいました。そのために、プレイリスト生成のためのおすすめAIを決めるために、実際に聴いてみて決定したいと思います。
プレイリストの感想
まず、GPTのプレイリストはRadiohead『Paranoid Android』(1997)から始まります。彼らの代表アルバム「OK Computer」の1曲目でもありますね。ポップというよりも、退廃的ロックといった楽曲です。『Hyperballad』(1996)や『Svefn-g-englar』(1999)でもこの静かで少し重たい感じは続きます。しかし、4曲目はミュートトランペット?から始まるジャズ、『Water No Get Enemy』(1975)です。その曲調はここまでの流れとは全く違うものであり、また聴き終わるまでに11分かかります。5曲目は『Harder, Better, Faster, Stronger』(2001)ですが、これが驚くことに違和感なく始まります。なんでこったい!といった感じです。6曲目は『Galvanize』(2004)です。1~3曲めまでのような単なるポップではない楽曲です。かなりシンセベースが目立っており、プレイリスト全体においても、盛り上げにかかる部分なのだと思います。7曲目、Perfumeの『ポリリズム』(2007)でもこの電子的なニュアンスは継続されますが、これまでとは違い、かなりポップで盛り上がりがピークに達します。8曲目、Tame Impala「Let It Happen」(2015)はそこから落ち着けるような楽曲で電子ポップに雰囲気をつなぎながら、9曲目、Kraftwerkの『Trans-Europe Express』(1976)へと移っていきます。ここまで、比較的ウェットな曲調の楽曲が多かったですが、この楽曲はソリッドな印象を与える楽曲です。この楽曲が挟まることでこの後の衝撃のラストにつながっていきます。最終楽曲はSeu Jorge『Life on Mars?』(2004)になります。この楽曲はデヴィッド・ボウイのカバー曲となっており、アコースティックな雰囲気が特徴です。ここまで、どの楽曲も少なからず、エレキな音がなっていたり、テンポが特徴的な楽曲でしたが、最後に、穏やかなアコースティックな楽曲にKraftwerkから繋げるのはなかなかできないなと感じました。 このプレイリストの特徴として、『Water No Get Enemy』、『Svefn-g-englar』など長い楽曲が多く含まれているので、10曲で構成されているにもかかわらず、聴き終わるのに1時間以上かかってしまいます。かなり攻めたプレイリストだなと感じました。
次にClaudeのプレイリストは1曲目の『Tainted Love』(1981)からアゲアゲです。このアゲアゲ感は最後まで続きます。ラテンな『La Bamba』(1958)、おそらく全体で再生回数ベストの『Despaciton』(2017)と続きます。本当にそんなに多くの人が聞くのかと思うほどクセの強い楽曲です。そして、なぜか聞いたことのある4曲目『Tubthumping』(1997)となります。後半「あれ、曲変わった?」となりますが、それはフェイクです。言わずと知れたカンナムスタイル、『Gangnam Style』(2012)、ここで盛り上がりは最高潮です。その次は一旦休憩といた感じで、生楽器の音が生きる『Macarena』(1993)、このプレイリストシリーズ2回目の登場、2010年サッカーワールドカップ南アフリカ大会テーマ曲『WakaWaka』(2010)で激しすぎない盛り上がりを見せます。8曲目の『Dragostea Din Tei』(2003)、9曲目、『Levan Polkka』(1995)と2000年台のインターネットで注目をあびた楽曲が続きます。そして、最終楽曲『Mundian To Bach Ke』(2002)にてアゲアゲがおさまることなく、プレイリストは終了します。
文字量にも表れてしまっていますが、個人的な好みとしては、GPTのプレイリストのセンスの方が好きです。全体の流れのアップダウン、予想の裏切りといったおもしろさが秀でています。 よって、私はプレイリストの生成にはChat GPT-4oをおすすめしようと思います!!!
おわり
今回は「連鎖的酔狂行列の発光」というタイトルのプレイリストをChat GPTとClaudeに制作してもらい、その選曲について少し分析を行いました。今回のプレイリスト内の楽曲のMV一覧や分析で使用したチャートはここで確認することができます。
これまで、4回を通して、AIにさまざまなテーマでプレイリストを作成してもらいました。GPT、Claudeどちらの選曲センスが皆様の感性に合っていましたか?これらに加えて、4,5月に大手の音楽サブスクサービスがAIでのプレイリストツールの発表が行われました。私はよく聴く楽曲以外にも触れることは自身の感性を拡張させるものと考えており、そのために、AIはかなり有用なツールです。いわゆる”あなたへのおすすめ機能”が人々の琴線を震えさせるような楽曲を発掘してくれるようになることを私は望んでいます。
これまで、ご高覧いただき、ありがとうございました。これから書くであろう、私の別の記事も読んでいただければ幸いです。
おまけ
同じタイトルで僕が作ったプレイリストも公開しておきます。